創作と日常と

書いた「作品」らしきもの、また日常のこと、思うこと等々。

戦争

「荘子」より

さて、その昔、堯帝ぎょうていが舜しゅんに向かって言った。「わしは宋そう・膾かい・胥敖しょぎょうの三国を征伐しようと思っている。 だが、南面して天子の位にありながら、武力を用いて征伐をするということは、何ともすっきりしないで、うしろめたい気が…

戦争について書くのは

ここら辺りが限界のようです… ── あと、思い出すことを書けば、中学のころ見たプロレス雑誌に、フリッツ・フォン・エリックが来日、息子のケビンとともに広島原爆記念資料館へ行く、という記事がありました。 悲惨な写真に、目をそむけた息子に、「ちゃんと…

資料

家にある、小説やエッセイ等でない戦争に関する本。 岩波書店の「原爆体験」。それと本ではないが七三一部隊の映画のパンフレットのようなもの。 この「原爆体験」は第一章の「心の傷」から「体の傷」「不安」へと続き、被爆者の証言、病状のデータ、後遺症…

ある日の午後

コンコン。ノックの音がする。 特製の椅子に深くもたれていた彼は、うさぎのように飛び起きてしまった。 めずらしい。いきなりこんな音がするなんて。シークレットサービスはどうしたのだ。 彼は机上の電話を取り上げ、受話口へ不機嫌に言った。「おい、ノッ…

ある片隅で

希望、夢。理解する、わかり合う。これらのもの、特に『わかり合おう』とすること! こんなところに、戦争の、諍いの元があるんじゃないか? 希望も夢も対象が必要だ、それは大抵人間に対する希望だ、夢だ、人間が人間に対するはかない希望、夢! そんなとこ…

戦時下であること

この連載、もう終えたい、終わりたいと何度か思った。でも、そうできなかった。戦争のことは忘れたくないし、忘れたくないなら書きたい、どうせ書くだろうと思ったからだ。 何のためにか、意地のような面もある。戦争が終わらない間は書き続けてやる、という…

アニミズムを作るもの

宗教には、ドンがいる。開祖とも、教祖とも呼ばれようが、そこに集う人びとの、崇める存在がある。 こころの弱さにつけ込んで、信者を増やし、いわば同族のもの、同じ旗のもとに集まった「同志」、「われわれ」によって、この世界を彼らにとってのユートピア…

サクラ、散リ始メ。

開戦、侵攻が始まって二週間目の頃だったと思う、ヤフーのニュース動画で、一般市民が原発を守ろうとして立ちはだかっているのを見た。 市民の一人の、体格の良さそうな男性が、勇敢そうに「原発は渡さない。われわれが守る」というようなことを言っている、…

ナセバ氏、ナセル氏と

ヒトにとって住み難い世界、環境・事実的にそんな世界が近づいているとして、だからってどうすりゃいいのさ? 何も変わらないよ、日常は! いつも通り、昨日の通り、こないだの通り、何年前からの通り、朝起きて顔を洗い、歯を磨き、行くべき所に行って居る…

戦時下にて ③

人は正義に立った時、最も残虐になれる… 正当化するに持って来いの悪がいる。 敵がいるのを喜びとし、待ってましたとばかり、襲いかかる…「わたしは正しい」彼を立たせるのは、そんな観念しかない。「何が悪い? わたしは正義だ、わたしが正しい」 鏡を突き…

戦時下にて ②

戦時下じゃ、こんなことはしょっちゅうだ。極限の状態だから、生の縮図だ。 だって次の瞬間には死んでいる… かもしれないことが、リアルなんだから。 一瞬だから、それが永遠になる? 残されたものによって? Bの場合もそうだ 、彼は近くのビルが砲撃された…

戦時下にて ①

あっちこっちで爆撃、砲撃の音が聞こえる。 遠くで聞こえる、近くで聞こえる… 日常茶飯だ。 Aは窓辺に立って、その音の方向を睨みつけている。なるべく近くの方向を。 彼は戦争を憎んでいた。自宅に着弾し、死ぬなら本望だ。 人間どもの愚行、この眼に焼きつ…

わが闘争

前へ倣え! 右向け、右… 同調意識にかまけて、大人もこの通り! 思考停止どころの騒ぎじゃない… 盗作! ネットじゃ当たり前のことだ、おいしいネタを掻き集め! うまいこと書きゃあ俺のもの! 模倣模倣模倣、二番煎じ、真似事、《工夫》は日本人の得意とする…

なぜ「反戦」か

反戦。どうして自分が戦争ぎらいなのか? 結局、今までつきあってきた、交流してきた人たちの影響が強いと思われる。 不登校や高校中退者の場所を提供してくれた予備校講師のHさんは「反戦運動家」だったというし(交流していた時は全然知らなかった)、その…

Oh,脳!

ロボトミー手術を行なえばいいのさ。戦闘なんかしなくなる。 人間の叡智だろう? 医学というのは。 ── むかし、そう言った作家がいたそうだ。 ズイブンな意見だと思う。 野蛮な面を医術で消し去る。 理性、知性に溢れた人間が、人間の創造する平和な世界であ…

幸せな子どもたちへ ⑥

ああ、実際に、きみたちが目の前にいてくれたらなあ! ぼくはきみたちを想像して、こうして話している。自分に話しているようなものだから、広がってゆかない。 目の前にいてくれたら… ぼくは「きみたち」なんて呼ばないで、目線で合図を送るだろう。第一、…

幸せな子どもたちへ ⑤

さて、こうして書いて── 話しているのだけど、ぼくはいつか死ぬよ。すると、この生きている間に誰かに向けて言う言葉は、ぜんぶ遺言になるかもしれないね。 あまり、いい社会をつくってこなかった人間の一人として、懺悔みたいにこんなことを言っているのか…

幸せな子どもたちへ ④

ガマンは、誰でもしていることだ。生きているということは、それだけでね。思い通りにならないことの方が、よっぽど多い! 生まれてきたのだって、自分の思い通りでなかったかもしれないのだからね。 きみは、自分が生きていると知って、初めて生まれたこと…

幸せな子どもたちへ ③

「好きなことばかりしていてはガマン強い人間になれない」と意見する人たちがいる。 でもそれは、「自分はそうしてきた、ガマンして生きてきた」人間が言うことで、自分がそうしてきたから、きみたちにもそれを求めるんだ。 ガマンというのは、ここまででき…

幸せな子どもたちへ ②

さて、ところが、きみは「ほかの人たちより秀でたい」とする気持ちになる時もあるだろう。ほかの人に、負けたくない。自分が、抜きん出たい。相手を、負かしたい。そんな気持ちになる時があるだろう。 これを競争という。かけっこなんかして、ビリだったら悔…

幸せな子どもたちへ ①

いいかね、よくお聞き。 きみたち、生きているんだよ。 どうしたわけかね。ここにいる── ここに、いる。 ここにいることは分かるね? ここにいるって、きみは知る。それが、生きている、ってことなんだ。 どうしているのか、分からないね。 お母さんのお腹の…

ニーチェの言葉から

「ただ一人への愛は、一種の野蛮である。何となれば、それは他のすべての者の犠牲において、行われるゆえに。神への愛も、またしかり。」(ニーチェ「善悪の彼岸」箴言と間奏曲) いけにえや、貢物、人柱などによって、世界を成り立たせてはならない。 ひと…

創作された現実に

まさか戦争が起きるなんて、という現うつつ。 東日本大震災のときもそうだった。コロナのときも。 ついこないだまで、まるで考えていなかったようなことが、現実に起こり、その現実の中に生きているという。 大きなことが起こる前には、布石がある── 地震は…

いうことをきかない、あいてを、ころす どうして、そんな、にんげんに、なった どうして、そんな、にんげんが いっこくの、あるじになった にんげんの、ざんこくせい だれにでも、ある、ざんぎゃくせい それを、とぎすまし けんりょくの、どれいになったひと…

過程 ②

医者を志したセリーヌが、そのために書いた論文は、およそ医学的な学識、知識とはかけ離れていたという。論理的、学術的というより、むしろ文学的な、倫理的な、美しい「作品」であった、と。 医師免許を取得するために書いた論文。これで免状が与えられなか…

過程 ①

虚栄によって災厄が起こる── 戦争について何か書こうとしていた時、戦争を起こす人と《私》のあいだに、虚栄があること、虚栄の働き、その接点、共通するものを見つけた、思い知らされた。 考えている最中に。戦争についてなんてテーマが大きすぎる、重すぎ…

宗教は戦争を引き起こす 信じるということは恐ろしいことだ 必要なのは、信じることじゃない 信じようとすることじゃない 信じられないこと 信じたくないものを 受け容れる勇気だ

今まで、「なぜ戦争は起きるのか」とか「どうしたら、戦争はなくなるのか」とか 戦争が起こらない世界にするにはどうしたらいいか? といったようなことは、考えてきたつもりだった。 ところが、今、その戦争が起きているのだった。「今、戦争を止めるにはど…

もし記憶が残るのならば

利益ばかりを優先してはいけない。弱肉強食など、野蛮な発想を礎に、あさましい、それこそ無益な競争を煽ってはいけない。お金は便利だよ。便利すぎるほどだ。そいつに喰われた人間が、お金の中に埋まってさ。金銭の胎内から出られない。手も足も出なくなっ…

尊重するということ

先日亡くなったマンガ家の松本零士さんは、ライフワークに「戦場シリーズ」を描いていたという。 戦時中、ものすごい能力をもった戦闘機を日本は持っていたとかいないとかで、それは世界に誇れる幻の戦闘機だったらしく、マニアの間でもその細かいリアルな描…