創作と日常と

書いた「作品」らしきもの、また日常のこと、思うこと等々。

⑱ 身体に関するまとめ(4)

『身体の動きを静めながら入息しよう』と訓練し、『身体の動きを静めながら出息しよう』と訓練します』(アーナパーナサティ・スッタ:出入息念経)

 呼吸する身体によって肉体が調整できることがわかったら、ステップ4へ進みます。このステップは「身体の調整装置を落ち着かせる」── 息が入る時・出て行く時に、身体の調整装置(呼吸)をより穏やかにしていくこと。
「身体の調整装置を落ち着かせることは、呼吸する身体そのものを落ち着かせることに関係します。このステップ4の目的は、さまざまなテクニックを使って、呼吸を細やかに平安にさせていくことです」。

「呼吸が落ち着けば、肉体の身体は穏やかになり、リラックスして落ち着きます。それは、心を落ち着かせてくれます。心については、次のレッスンのテーマなのですが、今は「身体」、呼吸を落ち着かせること、呼吸をマネジメントすることが大切なポイントです」
── このステップ4では、テクニックを使って呼吸を穏やかにしていきます。
・呼吸に沿う。
・確実な「点」で呼吸を見守る。
・見守る点として想像上のイメージを持って来る。
・そのイメージを、呼吸がほんとうに穏やかになって落ち着くまで、集中し、観察する。

「呼吸に沿う」は、長い呼吸・短い呼吸ですでに実践しました。
「見守る」、これは呼吸の道に沿い、1ヵ所ポイントを選んで、その場所で呼吸を観察し、見守ることです。一般的には「鼻」。とりわけ「鼻先」に置くことが多いです。最も簡単でシンプルです。上唇から鼻の下の間。
 呼吸を、よりハッキリと感じられる場所であれば、どこでも構いません。そこにポイントを置いたら、そこから息が入って行く様子、息が出て行く様子を見守りましょう。

 呼吸を「考え」「解釈」することなく、そのままに観察する時、私たちはそれを本当に感じています。
 細やかで穏やかになってくると、すぐ私たちは解釈を始めてしまいます。それは私たちをだます巧妙な手口です。思考、解釈を追い掛けるのはやめて、鼻先のポイントに特化して呼吸を見守り続けましょう。より呼吸が穏やかになっていきます。
 それは、あなた自身の体験を通して感じて下さい。

 これもテクニックですが、心のイメージを表わすことができれば、呼吸はさらに洗練されて穏やかになっていきます。
 眼を開けても、それを観ることができる、「心の幻覚」のようなイメージを、呼吸を落ち着かせることによって作り出すのです。
 心のイメージは、それぞれの人によって違います。
 ある人は、球のような形、ローソクの炎、太陽、月、星に似ているかもしれません。クモの巣に光る雨粒、虹、海の繰り返す波など、想像力の賜物です。
 これらのイメージは、作った人の能力に依存しています。心は、ある方向に傾いていき、イメージがそれ自身として立ち現われてきます。

 また、この立ち現われたイメージを変化させることもテクニックです。私たちは、あるイメージから別のイメージへ、私たちが望む方向へ、自分の方法で変化させることができます。
 最初にイメージを作った場所に心を置き、それを変化させ、操ります。これは心の能力として、元来備わっているものです。

 人は、心をより繊細に、精妙に操ることができます。呼吸を静め、コントロールすることで、心もより繊細に高まり、洗練されていきます。
 心の傾向に従って、イメージを変えることで、より呼吸を落ち着かせる方法を実験することができます。
 心が影響を与えられ、心によって呼吸にも影響が与えられます。
 そして呼吸は自動的に落ち着いていきます。
 心のイメージを、自分の思うようにコントロールすること。これも大切なテクニックです。
 心、呼吸が落ち着いていくプロセスも、どうぞ観察して下さい。

 心に小さな点、とても小さな明るい点をイメージするのもいいです。ある人達はブッダをイメージするらしいですが、それはブッダのイメージに思考がついていっているだけなので、なるべく意味を持たないもの、ニュートラルなもの、連想を起こさせないものがいいです。
 単なる白い点、ドットのような小さな点が適しています。点をとりあげることによって、身体の洞察がし易く、どんな思考も呼び起こさないようにします。

 心が、どこにもさまよっていかないようにしていきます。点は、動きます。ですが、すべてをこの一点に集中させることで、より身体、呼吸は静かに、平穏になっていきます。
 太陽の光を、虫めがねを使って集め、火を点火させるのと同じです。
 ひとつの点に心の流れを集め、心のエネルギーを注ぎ、活用します。
 心がひとつの点になった時、他の感受、思考、心の対象はあり得ません。

 … 瞑想は、「思考」の中にはないようだ。集中して「気づく」ことは、いかなる思考も含まれていない──
 呼吸が落ち着き、身体が落ち着き、心が落ち着いたら、このステップ4もひとまず完成、というところです。