創作と日常と

書いた「作品」らしきもの、また日常のこと、思うこと等々。

⑮ 身体に関するまとめ(1)

 さて、実践… そのまとめ。
 
 プラーナ(サンスクリット語パーリ語ではパーナ)は、「生命・生命力・生命を育み、維持するもの」という意味。「身体」と換言してもいいだろう。
 プラーナを、ヒトは正しく理解した方がいいらしい。すると、「いのち」も、健康的で正しく在るようになるらしい。
 正しさとは何か?と、私はよく懐疑的になるが、身体に関しては「健康・正しさ」というものが、どうも確かにあるようなのだ。

 ところで、プラーナも身体だが、これはあくまでも生命であって、生命というものは実に眼に見えない。
 われわれが眼にするのはもう1つの身体、すなわち肉体。
 マインドフルネスでは、この肉体という身体と、呼吸する身体という、2つの身体をもっている、と考える。
 プラーナの身体を調整することができると、落ち着いて、健康的で、よい状態になる。また同様に、肉体の身体も落ち着いて、健康的で、よい状態になるということ。

 肉体の身体について知っていても、プラーナの身体について、われわれはほとんど知ることがない。呼吸をしていることなど、あまりにも当然すぎて、意にも介さない。
 せっかく呼吸しているのに。
 この呼吸が、肉体を調整する装置であるのに、もったいないことだとまでは言わないが、肉体を調整する有益な方法として、プラーナの身体を理解することが重要である、とブッダダーサは説いている。

 諸行無常とは、何も外界のことではなく、この呼吸── 吸った時に生じ、出ていく時に消えて行く、なんという刹那、はかなさか── 生まれ、死に、を繰り返しながら、この肉体は「生かされている」こと… 無常である。
 私はマインドフルネスを知るまで、この健気な呼吸のことなど、ほんとに何も考えてもいなかった。

 繰り返しになるが、ステップ1は「長い呼吸」。
「長く入息する時は、『私は長い入息をする』と気づき、長く出息する時は『私は長い出息をする』と気づきます」(アーナパーナサティ・スッタ:出入息念経)

 最初のレッスン、「長い呼吸の観察。長く呼吸する身体を、その呼吸が出入する瞬間瞬間を、よく観察しましょう」。
 呼吸を長く保つ術を学ぶことで、結果的に、必要な時いつでも長い呼吸ができるようになる。これは怒りとかイライラとか、不穏な精神状態に陥った時、かなり有効な手段になる、とある。

 長い呼吸が、肉体の身体に及ぼす影響、味、特性を、よく洞察、観察してみましょう、と。
 すると、「呼吸する身体と肉体の身体の『関係』の理解へと繋がっていきます」。

「呼吸を観察する間は、考えることを通じてではなく、自分の呼吸と身体を通じて『体験すること』。これが、学びの基本です」と。